ミネラル成分を多く含む硬水と呼ばれるミネラルウォーターは、便秘に効果があるといわれています。
しかし、ミネラル成分による便秘の解消は一時的によるものであり、長期的な視点で便秘解消を考えるのであれば、どのミネラルウォーターを選ぶかよりも、ミネラルウォーターの飲み方について注意した方が効果は大きいでしょう。
また、すべての便秘の原因がミネラルウォーターを飲むことで解決できるわけではありません。
つまり、ミネラルウォーターは便秘解消を目的とした水ではないということです。
では、ミネラルウォーターと便秘にはどのような関連性があるのでしょう。
今回は、ミネラルウォーターと便秘について考えてみます。
ミネラルウォーターで便通をよくする方法
ヨーロッパのミネラルウォーターに比較的多く含まれているミネラル成分の中で、サルフェートと呼ばれるミネラル成分があります。
サルフェートとは、ミネラル成分と硫酸基が結合した物質のことで、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどによって構成されています。
サルフェートの構成物質のうち、硫酸マグネシウムは便通をよくする効果があるといわれています。
なぜならば、硫酸マグネシウムには、下剤と同じ効果があるからです。
ドラッグストアなどに置かれている便秘薬には、硫酸マグネシウムが有効成分として含まれているものもあります。
つまり、硫酸マグネシウムを多く含むミネラルウォーターを飲むことと、下剤を飲むことは、摂取量による身体への影響が異なるとはいえ、同じような効果が期待できるということです。
健康な人が下剤を飲めば、下痢になる可能性があります。
ということは、硫酸マグネシウムを多く含むミネラルウォーターを飲むことによっても、下痢になる可能性があるということです。
一般の成人でも下痢になる可能性があるのですから、内蔵の発達が未熟な乳幼児においては、その影響はさらに大きくなります。
ミネラル成分を多く含むミネラルウォーターを、乳幼児の飲ませないように注意を促しているのには、こうした理由があるからでしょう。
下剤の効果による便秘の解消は短期的なものです。
短期的な効果であるということは、継続した効果は期待できないということです。
ミネラルウォーターを飲むことによる便秘解消の継続した効果を期待するのであれば、ミネラル成分に注目するのではなく、1日に必要とされる水分量をストレスなく補給することができる飲みやすいミネラルウォーターを選び、こまめに水分補給する環境作りに注目した方がよいでしょう。
ミネラルウォーターよりも効果的な便秘解消法
どれだけ便秘に効果のあるミネラルウォーターがあったとしても、すべての便秘を解消することはできません。
なぜならば、ミネラルウォーターと便秘解消とに間には、直接的な因果関係は無いからです。
ミネラルウォーターを飲むことによる便秘解消の効果は、適切な水分補給を行った結果によるものです。
つまり、ミネラルウォーターを飲むことは水分不足による便秘に効果がありますが、運動不足が原因の場合、便秘解消は期待できないということです。
食生活に問題があるのであれば、ミネラルウォーターを飲むよりも食べ物の種類や量に気を配りましょう。
睡眠不足が原因だと考えられるのであれば、ミネラルウォーターを選ぶよりも睡眠時間を確保するようにしましょう。
ミネラルウォーターは薬ではありません。
ミネラルウォーターが便秘を直接治療するわけではありません。
問題に対する適切な処置こそが、便秘を解消する最も効果的な方法です。